「週一連載!ロボピッチャーにどーんと聞いてみよう」 …2005/05/21(土)

 

 えーっとですね、なんだ、なにから書いていいのかわからんな。

 とにかく、結論から言うとメールは8通来ました。
 8通か。
 まあ、たしかにすごい数字ですよ。これまでに比べたらずいぶんとすごいけど。
 8・・・か。

「俺、夢見てたんだ」
「えっ?どんな夢」
「いや・・・。たいした夢じゃない。ささやかなことさ」
「聞かせてよ。どんな夢なの?」
「うん。笑うなよ。」
「笑わないよ。絶対。約束する」
「例えば先週のテストを提出した後でさあ」
「えっ?ああ、うん。あの数学のテストね」
「そう。あのテストが終わったときに俺、『こりゃあ40点くらいしかとれてねえなあ』って言っただろ」
「うん。言ってたね」
「でも、心のどこかでは『とはいえ、80点くらいはあるかもしれん。その可能性は否定できん』とか思ってたんだよ」
「へえ。そうなんだ」
「ああ。男にはロマンってもんが必要だろ?」
「そうね。わたしあなたのそういうところ好きよ」
「うん。でも、ロマンだけでも生きてはいけないから、まあ、精神的な現実味を持たせて、40点しかとれねえとかいうわけなんだよね」
「うんうん。それで?」
「で。おれ、結局テスト43点だっただろ?」
「よかったじゃない。予想より3点も上で」
「ところがさあ、心のどこかで期待してた80点よりも37点も下であることに哀しんじゃってる俺もいるわけよ」
「うわー。つきあいにくい男」
「そんなこというなよ。つきあいにくいとかやすいとかじゃなくて、そんなリアルな心のひだを打ち明けてるところに惚れたり出来るようになれよ」
「えー。なにそれー。自分の駄目なとこ全肯定でそれをしかも他人に強要するのー?」

「いや、まあ、なんだ、強要はしないけど、そのがっかり感は知っておいて欲しいなって思ってさ」
「誰に?」
「いや、このコラムを読んでる人達に」
「ああ、そういうことね」
「わかってくれた?」
「わかったわかった」
「よかった」
「・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」
「ねえ、ちょっと言っていい?」
「うん。なに?」
「あんたファン減らすよ。このままいくと」
「・・・・・・・・・・・・・」

 とかいうですね、ちょっとしたショートドラマで僕の今の心の奥底を覗いていただきましたが、お分かりいただけましたでしょうか。つきあいにくいですか。そうですか。まあ、距離をとってつきあって下さいね。
 80点は取れなかったけど、予想よりも3通も多いメールをいただきました。送っていただいた方にはもうほんと心からの感謝を。では、これから毎週8回連続でコラムを更新したいと思います。ちょっと遅れるくらいはかんべんな。そういえば、ロボピッチャーのメンバーの皆さん、今日はレコーディング初日だったのにいきなり1時間も遅刻しちゃってすいませんでした。これからはちゃんと時間の守れる立派な大人になりたいです。

 では。「週一連載!ロボピッチャーにどーんと聞いてみよう」の記念すべき第一回質問はSAIさんからの質問です。

 こんばんは。SAIです。いつもお世話になっています。

 こんばんは。加藤です。いつもお世話をしています。まあお世話はしたりされたりですね。お互い持ちつ持たれつでがんばっていきましょう。

 オフィシャルHPのコラムを読みました。
 更新お疲れさまでした。
 加藤さんの、質問メールが来てとてもうれしい雰囲気が
 ひしひしと伝わってきました。


 質問メールが来てうれしいっつうか、むしろ一通しかこなかったことへの悲しみのほうが大きかったですけどね。
 でも今回は8通も来たから上機嫌です。

 さて、音楽を聴いたり演奏したりする方は多いですが、その中で
 あるときからオリジナルの音楽を創りはじめる方々は 
 何を原動力としてその方向へ進まれたのだろうと思ったのです。
 もしかすると「そう思う前に、もう、足が駆け出していた」という
 合唱曲の歌詞のような始まりだったのでしょうか。
 ロボピッチャーのメンバーの皆さまから、そのあたりのお話が
 聞けたら嬉しいです。

 では、明日の朝の通勤の時は、久しぶりにロボピッチャーのCD
 と家を出ようと思います。
 なんだか肌寒い温度ですが、どうぞお元気で。

 ♪SAI


 SAIさんどうもありがとうございます。僕もその同じ疑問を昔持った事があります。人が何かをクリエイトしたいと思うときってどんなときなんでしょうね。なんとなく環境の中でクリエイトしていく人もいるでしょうが、もっと個人的なきっかけがあると思います。それって、きっとその人を理解する上でとても大事なことのような気がします。

 では、ロボピッチャーのみなさんに、その質問をぶつけてみましょう。
 おーい。みんなー。

 キーボード 伊藤さんのお答え

 小さいときから音楽やってたけど、それはあくまでいろんな趣味の中のひとつでしかなかったです。本格的に音楽に打ち込むようになったのは、高校生の時かな。明らかにクラスの中で浮いていて、学校がすごく退屈で、エネルギーがあり余っていて、ぶつける場所が欲しかった。それと、色んな音楽を聴いたけれど本当の意味で自分が求めてる音楽がみつからなくて、自分で作るしかないなと思ったからです。

 はい。伊藤さんどうもありがとうございます。
 聴きたい音楽が他にないから自分で作るってのはかっこいいし、わりと良く聞く理由ですね。確かU2なんかもそんなこと言ってました。僕も今となってはロボピッチャー以外のどの音楽を聴いていいのかわからないときがよくあります。
 ところで、伊藤君は高校の頃クラスで明らかに浮いていたそうですが、今でもいろんなところで浮いています。そういうところがとてもキュートだなあとは思いますが、それにしてもちょっと浮きすぎじゃないですかね。東京に向かう高速のサービスエリアでうどんを食べてるだけでなんか浮いてるんですよ。
 まあそれも、カリスマといえばそうか。

 ドラム 森さんのお答え

 初オリジナルは中2。はや!ついでに初レコーディングは中三。
 そう、中学生のくせにもう、マルチトラック云々を知ってた。
 どんどん音を重ねていくやつね。
 高校時代は音楽活動絶頂期。
 で、実は20才で音楽、特にバンドの世界には萎えに萎えてた。
 ドラムの鳴る音楽は最高にダサイと思っていた。
 っと、余談でしたが、創作、その原動力?、、、、、
 んー、多分、口にすれば妄想と思われる事を
 音を通して、そうでないと信じてほしいのです。


 うん。
 これは、とてもきれいな良い答えですね。
 僕はインタビューを受けているときに時々自分の言葉がものすごく薄っぺらく感じる事があります。音楽を言葉にすると、やっぱりどこかで違和感があるんですよね。それこそ妄想に聞こえちゃうのです。音楽なら大丈夫なのに、言葉にすると妄想になってしまうことってたくさんあるんですよね。
 ただ、残念ながら、世の中にはその人がやっている音楽よりもその人のインタビューのほうが100倍面白いアーティストもいます。まあ、それはそれですごい事ですが。
 あと、「最高にダサイ」ていう表現がなんかカッコいいですね。

 ベース ありたさんのお答え

 私は、オリジナルをつくったのはかなり遅いです。
 間違いなくメンバーの中では最も遅いです。
 大学時代にバンドを始めて、その頃はずっとコピーばっかりしてました。
 「オリジナル作れ!」って、よく出ていたライブハウスの店長に言われ続けたので
 その頃もメンバーだった加藤君と、こっそり一曲だけつくりました。でもそれ以来全くないなぁ。
 ようやく自分から「つくりたい」とおもって「できた」のは、ここ数年の話です。
 コピーを続けた事は、今自分にとって大きな糧になっているのだけれど
 音楽を続けるうちに自然と「オリジナル曲による表現」というものに向かっていきました。
 自分の中でいろんな要素が整ったのだと思います。
 自分で0から1を作り出すわけですから、可能性は無限で、とっても面白い。


 あ!思い出した!
 そうか。僕が始めてオリジナルを創ったのは、ありちゃんの曲に歌詞をつけたのが始まりでしたね。「電信柱も踊る夜に」という曲でした。もう10年くらい前の話。
 ありちゃんとバンドを最初にやり始めてからもう11年ほど経ちますが、ありちゃんはバンドをやり始めたときから、自分のリズムを出していて、もうそれはすごいベーシストでした。僕は大体酔っ払ってステージに上ってぎゃあぎゃあ騒いですごい汗をかくだけでした。ありちゃんが作曲して、僕が作詞した曲をはじめて演奏した日の緊張を覚えています。自分が立っている地面がすごく頼りなく思えました。僕らを見ているお客さんがぐにゃりと曲がって見えて、僕らを値踏みしているようでした。でも、それは確か一回しか演奏しなかった。無理矢理作った一曲で、ありちゃんのいうように「要素が整っ」ていないうちに創った曲だったのかもしれません。

ボーカルギター 加藤さんのお答え

 先ほどのありちゃんと作った曲を別としたら初めて作った曲は「井戸を掘って」という2ndミニアルバムに入っている曲です。9年前に創りました。
 僕は曲を作りたいというよりは、歌詞を書きたくて、メロディーを作ってくれる人を探していたのだけど、友達もいなく、だれも作ってくれなかったので、しかたなく自分で作りました。メロディーは自分が歌詞を作るためのもので、どうでもよくて、とにかくそれに載せる歌詞を書きたくて、曲を作り始めました。
 自分の言葉がメロディーになって、それを友達とスタジオで初めて練習したときが多分音楽人生で一番緊張した時間でした。それまではほとんど英語の曲しか歌っていなかったので、日本語で歌う事自体がものすごく恥ずかしかったし、なにより、友人に内臓までも見せるような、一番見せたくない日記を見せるような感覚で、まあ、あんな恥ずかしい思いは後にも先にもしたことがない。
 やっと一曲できて、それを大学の教室でサークルの人達に見せたときは、もう緊張もしてなくて、すっきりしてた。自分が創ったものを信じて、それを人前で演奏するのはとても気持ちがいい。それ以上の気持ちがいい事を僕はしらない。
 その「井戸を掘って」という曲を録音してライブハウスに持って行って、ライブをやる事が決まって、それから今日まで最低月に一回のライブを欠かしたことはないです。そのライブハウスの店長さんは井戸を掘ってを聴いた後「へえ、こんな歌詞を書くんや。一回ライブを見せてよ」といってくれた。別に褒め言葉じゃないのに、ものすごくうれしかったのは、なぜなのか。
 ちなみに、メンバーに聞いてくれたらわかりますが、僕は今でも新曲をロボピッチャーに持って行って最初に聞かせるときにものすごく緊張して、とんでもない汗をかきます。曲を人に聞かせるってのは、自分の裸を見せるよりずっと恥ずかしい。裸を見るより僕の事をずっとわかっちゃうからだと思うんだけど、どうかな。


 きゃー。
 なんか、加藤さんが青臭いことを書きまくるので、こっちまで恥ずかしくなってしまいましたね。
 あと、加藤さんは新曲をスタジオで演奏するとき、ものすごく口数が多くなっていろんなことをしゃべるそうですが、それを自分で止めたいのだけどもう身体が熱くなっていて止められないのだそうです。メンバーの方は、それをわかって優しくしてあげてくださいね。

 と、まあ、そんなわけで、SAIさん満足していただけたでしょうか。
 何を原動力にして曲を作ったかといわれると、やはりそれは自分の中にあったエネルギーをほとばしらせたらそれがたまたま音楽だったのだと思います。鬱屈した魂や、生まれてきた理由のあいまいさや、有り余るエネルギーや、ひねくれた恋心がむやみに表に出たのがたぶん、音楽だったのだと思いますよ。それはきっとみんなそうだと思う。
 僕らはいつも「誰か」に「何か」を「何か」で伝えたがっている気がします。
 僕らにとっては音楽で伝える事が今は一番面白いみたいです。

 さて、今週から毎週最低8回は続くこのコラムですが、まだまだもちろん質問は募集中です。
 みなさんの普段からの疑問やお悩みなど、ロボピッチャーメンバーがすばやくさくっと解決いたします。
 日本の悩みを解決するのは、みのもんたの次はロボピッチャーです。
 どしどしお気楽にメールを送ってください。
 抽選で一名様に伊藤君と一緒に宇宙旅行に行く権利を差し上げます。おめでとう。幸せになってね。

 それでは、そんなこんなで、みなさん。これから毎週土曜日に現れます。
 何卒お楽しみにしていてください。
 格言もそのうち更新します。格言ファンの皆さんはしばしお待ちを。
 5/23渋谷o-crest、5/24下北沢・mona-records、5/26(木)青山・月見ル君想フ、5/29(日)十三・ファンダンゴのライブにぜひお越しくださいね。ほんっとーにすばらしいライブをしますから。
 まだまだチケット予約を受け付けているようです。なんとか来てください。いや、ほんと来てください。来てくれないと、もう行きませんよ!

 では、皆様。
 お元気で。
 幸せは歩いて来ませんが、歩いて行ってもつかめるとは限りません。
 まあ、楽に行きましょう。

 ロボピッチャー 加藤隆生 info@robopitcher.com


 
 
 
   
 
 
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