「僕がアニメを作った理由」 …2006/07/27(木)

 

 皆様こんにちは。ロボピッチャーの加藤です。
 なんか変なアニメの予告編を作ってしまいました。
 楽曲はロボピッチャーが作っております。
 せっかくですので私からこの謎のアニメ予告編についてのご説明をさせていただきます。

 まず、事の発端はある飲み会でのことでした。
 昔のアニメソングがいかにすばらしいかについてひとしきり語り合った後で、僕と友人は「それにひきかえ最近のアニメソングときたら!」と声を荒げたわけです。アニメソングとはただの音楽ではなくてアニメの為の音楽なわけです。まあ100歩譲ってもアニメと音楽は対等な関係になくてはなりません。それなのに、近年はアニメの内容とまったく関係ない音楽が幅を利かせています。もはやアニメのオープニングなのか、新人バンドのオープニングなのか分からなくなってきました。

 アニメには物語があり、そこにはすでにある種のベクトルが存在しています。音楽はそこに更なる物語を与える為の物だと僕は考えました。つまり、限られた時間の中で描ききれなかった物語が音楽によって補完されるものでなくてはならないと思ったのです。

 話は変わりますが、私は京都でSCRAPというフリーペーパーの編集長もやっております。京都という町の中でのびのびと新しいカルチャーを提唱し、それを誌面で紹介するだけではなく、確実に空間にも結びつけようというコンセプトのフリーペーパーです。
 そこで、「アニメソング」の特集をすることを思いつきました。
 僕らの周りには何人もの優れたミュージシャンがいるのでアニソンを創ることは出来るのですが、肝心のアニメを作ることが出来ません。もし能力的に出来たとしても予算的にぜんぜん無理です。だから、雑誌の上でだけ成立する架空のアニメの企画書を作り、そのアニメの企画書に沿ったアニソンを作ってみました。スタジオに頼み込み、ただで広告を載せてあげるかわりに、ミュージシャンに無料でスタジオを使わせてもらいました。そして、4組のすばらしいミュージシャンと1枚のアルバムをつくり発売しました。
  キセル、Limited Express(has gone?)、ヤベミルク、ロボピッチャーが参加したそのアルバムは「これがほんとのアニソンじゃい!」と名づけられ、フリーペーパーSCRAPと各バンドのHPでしか宣伝していないにも関わらず瞬く間に500枚以上売れました。

 僕らとしてはそれで、もう満足でとても楽しかったのですが、その後いろんなところからリアクションがありました。
 ある経営コンサルタント会社から「このアニメのサンプル版を作ってほしい」といわれたり、「このアニメはどこで見られるのですか?」という問い合わせが殺到したり、ロボピッチャーのライブでもそのアニソンを演奏しないとかなりきついブーイングが起こったりしました。ネット界でも「ぶっちゃけた話これはロボピッチャーの過去最高傑作だ」とかもうなんか微妙な意見まで出る始末で、うれしいやら悲しいやらでずいぶん複雑な気持になりました。

 そんな折、僕は親しくしているヨーロッパ企画という劇団から「ショートショートムービーフェスティバル」というイベントへのお誘いを受けました。これは5分以下ならどんな映像でもかまわない、それを一斉に上映してお客さんの投票で順位を決めよう、という企画だったのですが、もう僕には神のお告げに聞こえました。間違いない。神様は俺たちにアニメを作れといっておられる。そう思ったのです。ロックの神様とはまだ出会ったことはありませんが、アニメの神様とはさっさと出会ってしまいました。
 翌日僕は先日「このアニメのサンプル版を作ってほしい」といってきた経営コンサルタント会社に連絡をし、「予告編を作るから製作予算をくれ」という交渉をしました。もちろんその人たちからもらったお金で作ったアニメをよその映像イベントで放映するのは内緒です。とはいえもはや神の祝福を受けている僕は、神がかり的な交渉術を発揮し、見事に予算を手に入れ、そのお金でアニメの製作に入りました。

 スタッフには一人もアニメ製作の経験者はいませんでした。
 でも大丈夫、神様が付いてるから。
 SCRAPのデザイナーや、新進気鋭の京都在住イラストレーターを巻き込んでの怒涛の製作会議が夜な夜な行われ、僕はただ15分程度で簡単なコンセプトと、簡単なラフと、すべてのセリフを作りました。ちなみに、そのラフには「Aメロ終わる。ここからかっこいい映像が流れる」などと書かれていて、挙句の果てに「そして見事なテンポでエンディング。お客さん大喜び」とか書かれていて、僕という人間の編集能力の高さが伺えるすばらしいラフでした。

 そして、たった3人で製作したアニメはおよそ60時間ほどぶっとおしで働いたら完成しました。
 完成したアニメを見て、みんなで泣こうかと思ったけどなぜかふつふつと「俺たちいったい何してんだろう」という疑問が沸いてきました。
 そしてそのアニメは6/13に大阪で公開され、審査委員長のバッファロー吾郎の木村さんに絶賛され、「君たちが一番すごい!」といわれました。その後、このアニメのスポンサーになりたいという企業が現れたり、中国で放映する為のラフを書いてくれと言われたり、多方面からさまざまな引き合いをいただいておりますが、今のところちょっとアニメが疲れすぎるのと、ロボピッチャーのレコーディングに必死であることを理由に、気のあるそぶりを見せながらもまあまあちょっと保留、というキャバ嬢における常識的な対応にて日々をすごしております。えーイタリアンー?いきたーい。あでもその日別の約束があるんだったー。ごめんね。また絶対今度一緒に飲もうね(お店で)。みたいな感じですね。

 さて、ずいぶん長くなってしまいましたが、以上が「僕がアニメを作った理由」です。

 波乱万丈な感じが伝わったでしょうか。ここで書かれていることは一言一句違わずに真実です。
 
 最後になりましたが、ロボピッチャーの1STフルアルバム「アリバイと40人の盗賊」が9月に発売されます。
 世界が滅んでも、「ロボピッチャーの名盤アリバイと40人の盗賊ここに眠る」という墓石が残るんじゃないかと思うほどの傑作です。ぜひ聴いていただいて、ぐっときていただいて、どーんとライブにきていただきたい。そのアルバムに、この「卓球 makes me high!」も収録されております。うーん。素敵。

 それにしても、ほんとにこのアニメが作られたら、タイアップを自分で作っちゃう、最初のアーティストになるんじゃないでしょうか。なんてすごいことなんだ。まあ、時間があったら、アニメ本編も作ってみるかもしれません。

 それでは、どうぞ宜しくお願いいたします。
 
  ロボピッチャー 加藤隆生




 
 
 
   
 
 
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