趣旨
正しいライブレポを追い求め、ライブレポがミュージシャンにとって、オーディエンスにとって、またライターにとってどんな意味を持つのかを探る。そして、ライブレポの新たな可能性を突き詰める。
 
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と、いうわけでまた始まりました新企画。
ロボピッチャーのライブレポが読みたいという読者のみなさまと、とはいえ中途半端なテキストをHPに載せるわけにはいかないという加藤の葛藤(加藤の葛藤ってなんかHIPHOPっぽいっすね)が混ざり合って出来上がった企画でございます。
まあ、まあ、詳細はお読み下さい。
今回はお望みどおり長いです。
最後までたどり着けたら幸せがやってきます。

 はーい。新企画です。

 押忍。

 まず簡単にいきさつを説明すると、このHPを毎週更新にしてから、ライブレポを載せて欲しいという声がずいぶん高まっていて、でもまあただ載せるのもつまんないなあと思ってたんですね。

 はい。

 そんな折、先日行った暗号大会に「ロボピッチャーのアルバムは一枚も持っていないけど、暗号が面白そうなので応募した」というイキのいい娘さんから「ライブレポをやって欲しい」というメールが来たので、じゃあまあいっそ最初はロボピッチャーを見たことがない人に書いてもらおうか、という話になってライブレポの依頼をしたんですね。彼女の名は澤山さん。東京の方でした。

 うん。これだっ!と瞬間メガネがきらりと光りました。

 誰の?

 加藤君かなあ。最近メガネやし。

 ああ、俺か。うん。最近メガネ。使い捨てコンタクトがなくなっちゃったからね。

 で、とにかくレポをやってもらうと。

 そうなのです。というわけで、先日1/28に行われましたロボピッチャーの新宿redclothでのライブのレポをご覧下さい。

 1/28 新宿redcloth  ライブレポ 澤山一恵

 ミステリーツアーというものは耳にしたことはあるが、ミステリーライブというのは聞いたことがない。
 何てったって、そのバンドのCDを一枚も持っていないのにライブを見てレポを書くんだから、これをミステリーと言わずして何をミステリーと呼ぼう。あああ、そもそもどうして私はこの場にいるんだろう??確か、おもしろDVDにつられて暗号大会に参加して・・・「読者によるライブレポ投稿なんてどうですか」とか提案して・・・いつの間にかロボピッチャーHPの片棒を担がされている(いや勝手に担いでるだけかもしれないですけどね)。もう決めた!お父さんお母さん、ごめんなさい。ロボピッチャーHPのためなら私は脱ぎます。

 つい二月前までロボピッチャーと言えば、セガの往年のゲーム機(R2−D2みたいなやつ)のことだったのに、今じゃ京都から来た4人組しか頭に浮かばないよ、もう。
曲とかセットリストとか覚えてられるかな。あ、「みやこ音楽祭V.A.」は持ってるから「たった2つの冴えたやり方」はわかるぞ。「卓球 makes me high!」も。あと、あんまりお酒は飲まないようにしよう、うん。
 かくして新米ロボピッチャーファンによるへなちょこライブレポ、はじまりはじまり。

 新宿は靖国通りを東に入ったところにその赤い部屋はあった。実はred clothは初めて。中もほんとに真っ赤なんだなぁ〜。試合前のNBA選手の気分ってこんなかな。シーリングランプもアールデコ調のステンドガラスが素敵。
 ライブが始まる前に加藤氏を探し出すべく、ジンフィズを口に運び運び、目を走らせる。HPのプロフィールと「みやこ音楽祭」パンフの2枚でしか私は加藤氏を知らない。あの、Pulpのジャーヴィスみたいな眼鏡をかけた人?彼は向こうの壁際に、私はこっちの壁にもたれている。ロボピッチャーの前に出演したハネトの音はradioheadにも似て、要するに私の気に入った。ハネトの奏でる音に私は恍惚となったのだけどそれはまた別の話。

 ハネトのライブがまさにハネて、ジャーヴィスはステージの裏へと消えていった。やっぱり!彼が加藤さんだった!これからロボピッチャーはどんな音を聞かせてくれるのだろう。
私がジンフィズからバーボンロックにグラスを変えた頃、紅い布を背にロボピッチャー2007年初のライブは始まった。

 目を閉じながら1曲目のイントロを聴いていたら、まぶたの裏に街はずれのバーに灯る薄明かりが浮かんだ。ついでに喪黒福三の笑顔も浮かんできたので頭をぶるんぶるん振って、目を開けた。
どうも夕暮れの歌らしい。そしてほかのどの夕暮れを歌った歌と違わず、この曲も切なかった。切ないと言っても少しだけ。それは控えめな切なさだった。
 それにしてもロボピッチャーを生でみるのは初めてなのだけど、言葉が聞き取りやすい。
 
 あやし〜いキーボード(?)のイントロ♪これから墓場で運動会が始まりそうな。いかん、さっきからたとえがアニメばっかりになってる!これでは読者の皆様に私がテレビっ子だってことを暴露するようなもんだ。汗。でもこの曲は摩訶不思議なグルーブで、体がくねくねしてしまう。そして少し懐かしいようなコード進行。にゃーにゃー♪という有田さんのコーラスがかわいい。
 私はポケットにお菓子を入れておく癖がある。飴なんかは包み紙にべったり張りついちゃってることがある。思わずポケットをまさぐった。
 この曲ではずーっとベースを聞いていた。私はギターもベースも弾けないから自信がないけど、ブルースっぽいコードで進んでいくベースが最高にかっこよかった。今まで、ボーカルとキーボードにばっか目がいってました。有田さんと森さん、ごめんなさい。

 ここでMC。ドラえもんの登場人物やらAV女優がいつの間にか年下になっているという話題で笑いをしっかりとる。ドラクエ2の発売日(2月10日)にひっかけて、次回東京ライブも告知。この日、なぜか海外からの観客が多く、その中の1人から「ロボピッチャーってドコのバンド?」と聞かれたのをきっかけに話が弾む。外タレ軍団からのダメ出しです。「このバンド、MC長いネ」

 ここからは勝手知ったる「たった2つの冴えたやり方」。この曲まで気づかなかったのだけど、加藤さんの声はCDとライブではだいぶ違って聞こえる。もっとクセがあるんだと思ってた。もっと鼻にかかったような、ため息の入り混じったような、それでいて駄々っ子のような。でも今、響いている声は誠実で真っ直ぐで、何て言うか悪くない。あの、本家本元のロボピッチャーが放つような直球のようで。
 静かなギターのリフと諭すような加藤さんの声で新しい曲が始まる。ささやかに始まって、「始まらないの?」と壮大に問いかける。間奏がたまらなく美しかった。ビッグバンの名にふさわしい、スケールの大きな曲だと思った。交響曲の形式は備えていないけれど、シンフォニーのような曲だった。
 いつしか、鬱屈したグルーブと、拍の頭を打つ規則正しくかつ礼儀正しいビートが交互に現れる曲に変わっていた。「鬼さんこちら 手の鳴る方へ」という歌詞とその言い回しのせいだろう、初めて聴いたのに懐かしかった。あぁ、わかった。ロボピッチャーの歌はどれも健気で、少しだけ滑稽で、さらにちょっとだけ物哀しいって思ってたけど、それはチャップリンの映画に似ていたんだ。

 第2MC。サウンドエフェクトを使ったボケとツッコミは新鮮でしたよ。
 2007年のロボピッチャーの決意表明、大人げないかっこよさでした。ああいうのは反則だ。

 そこから先はもうあまり覚えていない。ストイックに観ると決めた最初の決意はどこへやら、スコッチとバーボンのロックをあおったから。「キャンディービート!」と連呼する曲に乗って、欽ちゃんばりにぴょんぴょん跳びはねましたよ。次の日の筋肉痛になることも考えずに。夢中で体を動かしていたら、星屑が消えていくような音がした。クスリも何もやってないのに、目も見開いたままなのに宇宙が見えてしまった。メーテルの顔が浮かぶという私の悪い癖も出た。
そしていつの間にか宴は終わっていた。

 ロボピッチャーは私より一回り近く年上のお兄さんやお姉さんがやっているというのに、探偵ごっこやSF小説に興じる少年っぽさを失っていない。そして、えてして少年性に女性は弱い。
 それでいてロボピッチャーは人生に疲れていないふりもしない。うなだれた心にさりげなく寄り添っていてくれる。
 素敵な演奏で私の心を盗んでいったロボピッチャーの皆さん、私の知らないところでこんなにも心地よい音が鳴っているのに気づかせてくれてありがとうございました。そして私にライブレポを書く機会をくださった加藤さんに最大の感謝を。これから京都の景色を思い出す度にロボピッチャーのことを考えます。なるべく。

2007年1月28日@新宿red cloth
with ハネト、かまボイラー

セットリスト
1.夕暮れ時を待ちながら
2.恋でも恋じゃなくても
3.私の形の溶けたチョコレート
4.たった2つの冴えたやり方
5.ビッグバンデイ
6.ライムライト
7.キャンディービート
8.パンチドランカー



 お!これはすばらしいライブレポなんじゃないですか。

 うん。これはなかなかいいよ。

 なんで上から目線やねん!

 ああ、ほんまやそういうところは、改めなくてはなるまい。ライブレポを読むときは。

 こんなに一生懸命書いてくれはったんやなあ。いやあ、これはうれしいですね。

 ちなみに、SEGAのR2-D2みたいなやつは「ロボピッチャ」です。お間違えのないように。

 この方、結構若いと思うのですが、ロボピッチャもR2-D2も知っててなかなかレトロな方ですね。MC長かったのかなあ。

 長かったよ。

 何しゃべったかぜんぜん覚えてない。なんやAVの話って。ああ、知らないうちに年をとってて、のびた君を越え、高校球児を越え、知らないうちにAV女優も年下になっていたという話か。

 うん。で、なんかいい加減なところで突然終わって、僕にオチをつけろとか言ってきた。

 あはははは。そりゃなんかいつものパターンやな。自然体やな。で、なんてオチつけたん?

 落ちるところまで落ちたなあ、これがオチ、とか言った。

 お、うまい。なるほど。それにしても、こういうレポを読むとライブを思い出す。俺、キャンディービートの歌詞を一番丸々忘れて適当に歌ってん。

 そうそう。あれはびっくりした。どうしようかと思った。

 比較的歌詞が飛ぶことが少ないボーカリストやと思うんやけどな。まあ、その日によって気分でこっそり小さく歌詞を変えてる曲もあるけど、あれはライブでそのとき歌ってる歌詞が正解なのです。

 うーん、そうなのか?まあそれにしてもこのレポの、「チャップリンの映画に似ている」とか、「少年性があるのに、人生に疲れていない振りをしていない」っていうのはこれまで言われたことないけど、確かにそうだなあと思うし、こういうことを言葉にしてもらえるとすごくうれしいですね。

 うん。人生に疲れていない振りをしているミュージシャンって結構多いもんな。ミックジャガーとか(笑)。

 えー?!

 (笑)。やっぱり音楽をするってすごく疲れるし、自分の体から音が出て行くのであれば、そういうことまで全部伝えてしまうのは、必然のような気もする。それを隠すのがプロだっていう意見もあるかもしれないけれど。

 ロボピッチャーは特に隠さないよね。無理してたら続かないし、まあ無理できないっていうか・・・。

 まあね。。ところで、この企画は「魁!ライブレポ塾」と題していて、正しいライブレポの書き方の提言にまで結び付けられたらと思うんだけど、伊藤君の思う正しいライブレポってどんなん?

 僕が思うのはライブの臨場感が伝わってくるようなライブレポ。自分がまるでそこにいるような感覚を文章で見せてくれるのが正しいライブレポだと思います。

 なるほど。それはずいぶんと難しい話だとは思うけれど、一つの理想の形ではあるかもな。そういう意味で、この澤山さんのライブレポは、ライブのスピード感を殺さずにばーっと読めるし、そのときに澤山さんが感じた「感覚」に忠実なテキストだから、主観的なライブ感がすごく出てる気がする。

 はじめてみたっていう感覚も織り込まれていて、そこも疾走感に繋がっているなあ。

 そうやな。次回も2月10日にライブがあるので、そのときは、ロボピッチャーのアルバムをすべてご購入いただいて、きっちり勉強してから聴いてみたバージョンのライブレポを読んでみたいですね。 

 おお!それはすばらしいアイデアだ。みんなが幸せだ!

 うん(笑)。そして、この企画は、オーディエンスがライブレポを書いて、それにミュージシャンが応えるという画期的な内容でありながら、その関係性がクローズなものにならないように、本当にプロのライターさんからもこのライブレポに対してコメントをしてもらいます。

 いつもお世話になっているhotexpressの杉岡さんです。

 ちなみにhotexpressにはロボピッチャーのインタビューやレビューがたくさん載っているので、どうぞみなさま行ってみてください。

 ★ 音楽情報サイト・hotexpress
 ★ ロボピッチャー・アーティストページ

 この企画はロボピッチャーのライブがある毎に行われるんですかね。

 もちろんです。

 と、いうわけで、みなさまからのライブレポを随時募集しております。なので、ライブレポを書きたい方はライブの前に立候補してください。こちらから改めて連絡させていただきます。

 とりいそぎ、もし2月5日の僕ら2人バージョンのライブレポが書きたい方はまあふらっとご連絡ください。 

 応募先 info@robopitcher.com

 それでは、杉岡さんのコメントです。宜しくお願いいたします。

hotexpressライター杉岡さんからいただいたコメント。

 光栄にも今回、加藤氏からのご依頼により、完全に「お前が言うな」の立場だととは知りつつもノコノコとやって参りました、hotexpress編集部の杉岡です。
皆様が書かれたライブレポに対し、ご意見番としてコメントを、との事ですが、hotexpress編集部史上、原稿の修正、削除依頼が最も多いのが、何を隠そうこの私。修正のしようがなかったらしく、掲載を丸々カットされてしまった事もあります。しかも数回。あ、何か余計な事言ってる!

と口(手?)を動かせばボロが出る仕様になってますので、早速では御座いますが、今回のレポートを評させて頂きます。読まれる方は面倒では御座いますが、いちいち「お前が言うな」とツッコんでもらえると助かります。

ステキな比喩表現が多く、例え好きの私としてはとても読み応えのある、キラキラしたレポだと思います。特に後半、徐々に盛り上がっていくくだりなんて、正にライブさながらの臨場感があり、読んでいてドキドキしました。
全体的にもうちょっとシェイプアップさせると、よりその興奮や感動が伝わりやすくなるのでは。

また、今回、特に心に残ったフレーズを幾つか。
1.それはまた別の話。   ←声は森本レオ氏でよろしいでしょうか。
2.何て言うか悪くない。   ←ドキッとする発言です。
3.それはチャップリンの映画に似ていたんだ。   ←なんかココを読んでキュンと来ました。
4.星屑が消えていくような音がした。   ←なんか光GENJIを思い出した。

以上です。
にしても澤山さん、アルコールのチョイスが渋すぎ。
後、筋肉痛は中一日でやってくるようになってからが本当の地獄。
朝、己の枕の匂いに顔をしかめて、初めて大人。
この前、腐ったカレーみたいな匂いしたよ!

次回からは私はいないかもしれません。でも泣きません。泣くもんか。



 というわけで。プロのライター杉岡さんのコメントでした。

 あ、うん。えーっと、さすがプロだよね。コメントにそつがないっていうか。

 そうですね。いや、ロボピッチャーのインタビューの時は本当にすばらしいんですよ。

 いや、それは知ってるよ!これはまだ、最初だから波に乗れてないだけですよ。次回からはもう切れ味の鋭い批評をびしばしと。

 そうか。そうやんな。「光GENJIを思い出した」とかプロのライターのコメントとしては・・・

 こらっ!いや!違うねん。俺らみたいな素人にはわからへん深みやねん。

 ああ。そか。ごめん。

 うん。でもまあ、あえて言わせてもらうと「それはまた別の話」は森本レオがどうとかよりも「はてしない物語」のフレーズだと思うんだよな。

 あ!加藤君も批判を始めた!

 いや!これは批判とかじゃなくて、その・・・。杉岡さんにはとにかくお世話になってるし、大好きだし、でも、その、これから一緒にがんばっていく為の、エールっていうか、励ましっていうか、応援歌っていうか・・・。

 うん。もういいよ加藤君。気持はわかるから。

 うん・・・・・・。なんか気を使わせちゃって・・・ごめん。

 はいっ。気を取り直してもう一回はいっ!というわけで、そんな日本音楽界を背負って立つプロのライター杉岡さんにライブレポを添削してもらいたい人はどんどんロボピッチャーのライブレポを書いてください!

 ひとまずそんなロボピッチャーのライブレポ講座でした。

 ではよかったら2/5の僕ら二人のライブにもお越し下さい。

 それでは、こんなに長く読んでいただいてありがとうございました!

 またらいしゅーーーーーーーーー!!!!!!!



ご意見ご感想叱咤激励批判文ダメだし、HPスタッフへのご応募などは以下アドレスまで。
info@robopitcher.com


 
 
 
 
   
 
 
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