もう地球上から失われてしまった場所から発信されてくる音楽みたいだと思った。夢とか希望とか未来とかを僕らは、紛失した。でもロボピッチャーは、ビルの隙間や草むした空き地みたいなところから、夢のような音楽を奏でている。加藤君の声とコトバが、虚空によく響く。明るくて、透明で、切なくて、とってもよかった。夕暮の空を行く人工衛星を眺めてるみたいなロマンチックな気分にしてくれる。僕らが今生きてること自体をすでにノスタルジアとして感じるからかもしれないね。
(今気づいたのだけど、加藤君の詞はカンジが多いのに、歌うとそんなことをわすれさせてくれるのが面白いなと思いました)

後藤繁雄 (編集者/クリエイティブ・ディレクター/京都造形芸術大学ASP学科長)


【収録曲】



POCE-2537
定価\1,800(税抜価格\1,714)


発売元:ファーストエイドネットワーク 販売元:ユニバーサル
Produced & Performed by ロボピッチャー
加藤隆生:ヴォーカル、ギター
伊藤忠之:キーボード、プログラミング
有田さとこ:ベース、コーラス、バイオリン、ビオラ
森 崇:ドラムス、プログラミング、コーラス
Recorded & Mixed by 森 崇
Recorded & Mixed at Studio BOSCO
Art Direction & Design:太田洋晃 / Marble. co

『愛についてのアルバムだと思う。強くて沁みこむ。涙が出そうです。』
加藤隆生(Vo.G)

『このアルバムはひとつの世界。立体感があって、音を手でつかめそうな気がする。』
伊藤忠之(Key,Prog)

『とてつもなく集中して聴いても、何気なく聴いていても、本当に素晴らしいアルバムだと思う。』
有田さとこ(Ba,Cho)

『「幻」を「コントロール」するという事は、非因果的秩序を認識する事と同義である。
すなわち分析しがたい、どの「感情」にも属さない、完全なるニュートラルな「感動」を
心の奥底から滲み出させるような、その起爆剤となるような音楽を目指した。
今作は特に僕はエンジニアという立場でそれを全うしようと努めた。
全てを客体化し、時間軸の「外」の世界に押し上げていくのだ。』
森 崇(Dr,Prog,Cho)
「いつでもどこでも聴こう!ロボピッチャー!!」  hot express編集部 杉岡 祐樹
  つい先日の話。とあるライブでゲスト出演したCharaを見た。感情に突き刺さるようなその歌声を耳にした瞬間、「今、世界は彼女を必要としているっ!」と、何故だか急にそう思えた。この感覚はそう、『消えた3ページ』を初めて耳にした時と一緒だったのだ。「共通項が見当たらないよ?」と思う方が多いだろうが、何しろ自分は『消えた〜』のレビューで超ビッグバンドを引き合いに出し、後にVo.加藤隆生氏から「あのレビューを見てライブに来たお客さんが怒っていましたよ、アハハ。」という素敵なお言葉を頂いた人間だ、今更何に怯えよう。ともあれ、こうして「結果的に」3部作を完成させたロボピッチャー。そこで自分はこの3枚の正しい聴き方、なる物を記したいと思う。
  時間帯は午後3時くらい、昼過ぎまで寝てしまった休日なら尚良い。毎日が休日な方なら最高だ。で、やはりまずは『消えた3ページ』。万年床の上でぐったりと、3作の中でも一際エネルギーに満ち満ちたサウンドに身を任せ、サイケチューン『キノコ』の辺りで煙草を燻らすのも悪くない。きっとそのうち腹が減り、読んでいた小説を閉じて身体を起こしたりするだろう。
  料理なんてもちろんできない(断定)。コンビニへ向かう時はイヤホンで『透明ランナー』を。『ループ』の軽快なサウンドに何となく散歩したい衝動をかきたてられ、たかだか隣町まで歩くくらいのモンだけど何処となく旅をしている気分になったりさ。通りがかった誰もいない公園に幼少時代を重ね見たりするが、案外家でファミコンばっかやってた過去を思い出して苦笑したりする。クリアした後のRPGで延々とレベル上げしていた日々を思い出した所でCDは『井戸を掘って』。
  気付けば夕暮れ時。歩き疲れてガードレールに腰掛けたら、CDを『まぼろしコントロール』に変えよう。ふっと見上げた空は薄紅色に染まっている。毎日見ているはずの景色に何故かひたすら心打たれ、何となく何かを始めようとか考える。その何かは分からないけど根拠なく自信にだけは満ち溢れ、『今日じゃない明日』を夢みたりする訳だ。しかし日没が迫った頃、3作を締め括る名曲『ミクロ』の「なんにも知らなかったって知る」にはっと我に返り、えもいわれぬ笑顔をたたえながらのんびり家に帰っていく・・・。
  どうだろうか。いや聞かれても。ともあれ長文でお目汚し致しましたが、やっぱり音楽は好きな時に好きなように聴くものだと思います。いつでもどこでも聴こう!ロボピッチャー!!


hot express内

ロボピッチャーアーティストページ

まぼろしコントロールインタビュー

3部作レビュー 1 | 2 | 3
街ではこんなフリーペーパーが…


 新しいことをどんどん自分たちから発信するバンド・ロボピッチャー。とうとう新作アルバムをテーマにしたフリーペーパー「世界にはロボピッチャーが必要です」を発行してしまった模様。これは今まで誰もやったことがないであろう、きわめて新しい図抜けた手法ではないでしょうか。痛快!
 今回発行されたVol.0は、アルバム「まぼろしコントロール」をモチーフに、ロボピッチャーのいろいろな姿をいろいろな角度から表現したもの。1曲ずつ取り上げられた収録曲の紹介がかなり楽しいです。筆頭は「キャンディービート」のページの森崇。「ヘブン」のページの有田さとこもなかなかキュート。

 各界の友人知人から寄せられた推薦コメントのページも、ロボピッチャーを取り巻く人達の独特さがうかがえる興味深いコメントが並びます。ソウルフラワーユニオンの奥野さん、はじめにきよしのおふたり、Great3の片寄さん、倉橋ヨエコさん、タテタカコさん、ヨーロッパ企画の上田さん、など、ミュージシャン、アーティストから、ライブハウス、編集者やライターのみなさん、いろいろなフィールドからロボピッチャーを応援してくれている方々がコメントを送ってくれました。
 とても楽しいロボピッチャー・フリーペーパー。街でみかけたら是非手に取ってみて下さい。楽しいひとときをお約束します。
>>フリーペーパー・関東/関西圏の主な設置場所一覧


ビデオクリップ「ミクロ」




  アルバム「まぼろしコントロール」から、最終曲の「ミクロ」がビデオクリップになりました。今回の映像制作は、昨年のファーストアルバム「消えた3ページ」のときにビデオクリップ「私の形の溶けたチョコレート」を制作してくれた伊藤明子さん。京都駅近くの、まだ暑さの残るデパート屋上で撮影された作品です。そこは「まぼろしコントロール」という物語の舞台になったかのような場所でした。秋近い抜けるような青空がなんだか切ない映像です。 >>ビデオクリップを見る

「そしてなんにも知らなかったって知る」という言葉で、「消えた3ページ」「透明ランナー」と続いて来た3部作が完結しました。といっても、3部作と銘打って制作されていたわけではなく、結果的にそんな流れになった、のですが、最終話をこんな言葉が飾る物語っていいですよね。
 この3作で、音楽的にはラジカルにいろいろな方向へ飛翔し、技術的に特筆されるべきアイディアがたくさん実践され、ひとつの世界観で繋がれながらもけして類似しない、あらゆる観点でものすごく充実した3部作になったと思います。広大な表現の原野を長い道程を踏んで進んで行くロボピッチャーの、これが始まりの物語だったりもします。先が楽しみです。
 というわけで「特集・まぼろしコントロール」をつくってみたのですが、けして「これで"まぼろしコントロール"のすべてがわかる!」という特集ではありません。むしろ、ラフガイドです。是非、ここから「フリーペーパー・世界にはロボピッチャーが必要です」や「ビデオクリップ・ミクロ」や「ボロフェスタ」や「SCRAP」や「Marble.co」や、そのほかいろいろなロボピッチャーに飛んで行って触ってみて下さい。泣きたくなるような喪失感の向こうにあるやさしい強い希望みたいなものが見えてくるはずですよ、きっと。では、またあちこちでお会いしましょう。さようなら。

[宮内俊宏/ネーブルファクトリーワークス]

 

 
 
   
 
 
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